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発酵ワークショップ 2017 開催記録

発酵ワークショップを開催しました

   2017年11月25日(土)秋田県横手市にて、たのバラ秋田支部主催「よこて発酵を知る理科実験教室」の第2弾、発酵ワークショップを開催しました。ありえないぐらいの大雪の中、会場に予定していた秋田県横手市増田にある登録有形文化財の旧:勇駒酒造の内蔵(うちくら)が、大型のストーブでもまったく暖まらない状態・・・。急遽、会場を店舗二階の暖房の効いたお座敷に変更させてもらいました。お座敷で参加者の距離感も近く、和気あいあいと発酵ワークショップが始まりました。 和紙ワークショップチラシ

種麹と発酵のお話

   日本一の種麹屋(たねこうじや):秋田今野商店の研究員である佐藤 勉 先生に、種麹や発酵のお話をしていただきました。 まず初めは、大豆の発酵食品テンペのお話です。東南アジアではよく食べられるテンペ。バナナの葉にテンペ菌がついていて、それで蒸した大豆を包むと1日でテンペになるそうです。ワラで蒸した大豆を包むと納豆になる話と似ていますね。女性ホルモンに似た構造を持つ大豆イソフラボンは、テンペではよく体内に吸収されますが、納豆ではあまり吸収されないという余談も飛び出しました。日本では岡山がテンペの生産量が多いことなど「へ~!」という話も出てきます。そんな話を聞きながら、生のテンペを観察し、少しだけ生テンペの味見にも挑戦してみました。そのあと、テンペのから揚げの試食です。初めて食べた人も多かったのですが、香ばしくとても美味しいとの感想が多かったです。

  会場の様子
佐藤先生の解説おもしろい!
テンペのから揚げ
テンペのから揚げ
 

   続いてヨーグルトのお話です。球形の菌と棹(さお)状の菌の走査電子顕微鏡の写真をみて、違いや特徴を解説していただきました。そして、2種類の本格的なヨーグルトの試食です。粘りとマッタリ感が特徴のカスピ海ヨーグルトと、カドカドっとしていて酸っぱいマリアミヨーグルトです。二種類のヨーグルトの試食の後は、牛乳とレモン、酢を使ってヨーグルトができる原理を実験してみました。ピペットで乳酸(原液)を混ぜたヨーグルトもどきの酸っぱさには悶絶しました(笑)。

  ヨーグルトの感触を確認
ヨーグルトの感触を確認
酢酸原液入りの牛乳の変化
酢酸原液入りの牛乳の変化
 

   続いて、研究所から持ってきてもらった様々な実物の麹菌を見ながら解説をしてもらいました。カビだと思うと「気持ち悪い!」という子どももいましたが、実際の標本はとても美しいものでした。麹菌の解説のあと、通常の麹でつくる甘酒と、特別な麹でつくった「あめこうじ」、焼酎をつくる黒麹でつくった甘酒の解説と試飲をしてみました。あめこうじは通常の甘酒よりさらに甘く、この年、特許長官賞をとったという3年がかりで開発した麹菌ことです。大人も日ごろからお世話になっている(笑)、焼酎の麹でつくった甘酒は、なんと酸っぱい!のです。衝撃的な味の違いです。しかし、慣れてくると、この酸っぱい甘酒のほうがもう一度飲みたいというクセになる味でした。

  本物の菌をみての解説
本物の菌をみての解説
特別な甘酒
特別な甘酒
 

   最後に佐藤先生からは、これから買い物をするときには裏にある表示をみて、何が入っているかを注意して見てみよう、というお話と、見えないけれど菌がいることを知って、菌に興味をもってほしい、というお話がありました。ほんとうに麹菌の世界、おもしろいです。

麹の力を知る実験

   第二部は、麹の力を確かめてみようという実験です。講師は名物理科教諭でたのバラ代表の青野先生です。 まず、お鍋でお湯を沸かし、謎の白い粉を投入です。そこにさらに白い粉が・・・と、解説が始まると、すでに子どもたちの目が釘付けに! 子どもたちにも参加させて、白い粉をさらに混ぜます。普段やったことがない作業で、子どもたちも魔法にかかったようにハイテンションになっていきました。実はこれ、実験用の寒天培地をつくっていたのです。1%の片栗粉をいれた寒天培地です。

   自分専用のシャーレを受け取り、寒天培地のもとを流し込みます。先ほど見た本物の麹菌のシャーレをもう一度見に行き、寒天培地の厚みも参考にしました。寒天培地はすぐに固まり、続いての準備です。培地の上に4カ所テストをする場所を決めます。それがわからなくならないように、マジックで印をつけます。これは自分で考えて、フタに書いたり、裏に書いたり工夫しました。この4つのエリアに、1つは麹を水に溶いた麹水、1つは新三共胃腸薬(消化酵素のタカジアスターゼが入っている)を水に溶いたもの、1つはただの水、そしてもう1つは自分の唾液を表面に塗ります。唾液が「えー!汚い!」という子どもには、「汚いものなら、全部口から出してください」と笑いながら切り返す青野先生、さすがです。

   少し時間をおいて、薄めたヨウ素液を入れてみました。あら不思議、デンプンに反応するヨード液はデンプンがあるところは紫色になりますが、染まらずに透明な部分があるぞ! デンプンが糖に変わった部分がわかるのです。子どもたちのシャーレの結果はどうだったのでしょうか・・・

白い粉をお湯に溶きます
白い粉をお湯に溶きます
シャーレの準備
シャーレの準備
シャーレの上に変化が
シャーレの上に変化が・・・

   続いて、前日に用意してあった1%の片栗粉をいれた寒天培地に麹を乗せたものがどうなっているか、を同じようにヨウ素液をいれて観察してみました。これはものすごくはっきり変化がわかりました。透明になっている部分が麹を置いた範囲よりずっと広いのです。麹菌が菌糸を伸ばし、寒天培地の中のデンプンをどんどん糖に変えているのがわかりました。目に見えない菌の働きがはっきり見える実験ですね。

   最後に「生きている味噌」と「死んでる味噌」の実験です。片栗粉をお湯に溶いてドロドロにしたもの(デンプンのり)を透明プラカップに入れて2つ用意しました。この実験も子どもたちが自分たちでやったので、それはもう大騒ぎ。でも、プラカップに入れるのもちゃんとできました。まずは、市販のダシ入り味噌を片方のプラカップにいれて、デンプンのりと混ぜてみました。ドロドロのままです。次に、もうひとつのプラカップに麹屋さんの味噌をいれて、デンプンのりと混ぜてみました。すると、ドロドロがあっという間にサラサラになり、水のような感触に変化しました。これはどういうことでしょうか。

   ダシ入りの味噌はすでに麹菌の活性がなくなっているため、デンプンのりは変化しません。生きている味噌は麹の力が残っているため、デンプンが糖にどんどん変わってノリ状のデンプンをサラサラの液体にしてしまうのです。子どもたちは少々キョトンとしていましたが、大人からは「おおお!」という声が上がりました。簡単な実験ではありましたが、子どもも大人も楽しめた実験でした。 味噌を混ぜている様子
味噌を混ぜている様子
   この味噌の実験、麹菌が生きている味噌が絶対によい、麹菌の活性がなくなっている味噌が悪い、と一概に言えるものではありません。地元に麹菌が生きている美味しい味噌屋があるのは幸せなことです。しかし、大手食品メーカーが味噌を流通させるときに麹菌の活性を止めてしまうことは、流通コストや保管方法、消費期限のことを考えてやっている、という理由があることも理解しましょう。

麹の力を使った発酵ランチ

   最後はお楽しみの発酵ランチです。すべて麹を使ったお料理で、資料の「麹の本」のレシピに合わせてつくったものです。ひとつずつを鈴木先生に解説してもらいましたが、ハラペコで待ちきれません。塩麹で一大ブームになった麹ですが、横手では昔から三五八(さごはち)という塩麹が使われてきました。塩3、米5、麹8の割合でつくられた旨みのある塩のことです。この三五八を使ったトマトサラダとオムレツ、漬物、味噌汁、鶏肉の麹漬け、あめこうじのすき焼き、甘酒デザートまで、麹が食材を美味しく変身させていました。

  発酵ランチ
発酵ランチ
食べている様子
食べている様子
 

   子どもも大人も楽しみながら、麹の力を知ることができたワークショップとなりました。また、来年も企画したいと思います。