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ミツバチワークショップ
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ミツバチのシャーレ標本をつくろう!開催記録

みつばちワークショップを開催しました

   2016年8月6日、エコギャラリー新宿で「ミツバチのシャーレ標本をつくろう!」のワークショップを行いました。募集20名のところ、夏休みということもあって100名以上の応募があったため、定員を増やし、抽選で選ばれた30名の子どもたちが参加してくれました。 みつばちシャーレ標本の材料
材料がずらり!

ミツバチの生活

   講師の簡単な自己紹介とたのバラの紹介のあとに、ミツバチの説明が始まりました。
   基本的な昆虫の体の構造、卵 → 幼虫 → 蛹(さなぎ)→ 成虫になる完全変態、幼虫から蛹にならずに成虫になる不完全変態の話に続き、集団生活を送るミツバチの話へと続きます。
参加した子どもたち
参加した子どもたち
   「ミツバチのオスとメスでは、どちらが働いているでしょうか?怖いのはどっち?」との質問に、オスが働いてメスが怖い、って答えるのはどこのおうちの話かな(笑)。答えは、働くのはメス、攻撃する針をもっているのもメスです。オスは働きません。オスは女王バチと交尾するだけの存在です。それも1匹だけ・・・
   オスとメスの見た目の違いを聞いて、オスとメスの実物標本を観察して、エタノールの入った小さなガラス瓶に詰めました。ピンセットを初めてさわる子もいます。つぶさないように慎重です。
エタノールの入ったガラス瓶にミツバチを入れます
ガラス瓶にミツバチを入れます

   女王バチはひとつの巣の中に1匹だけ。女王バチは見た目も違い、おなかが大きい。実は働きバチは予備の女王バチも育てます。養蜂農家さんはこの予備の女王バチの巣はとってしまいます。新しい女王バチが羽化すると、一方の女王バチが働きバチを連れて外に出て行ってしまうからです。これを分蜂(ぶんぽう)といいます。この大椀(たいわん)や王椀(おうわん)と呼ばれる巣の中には女王バチを育てるための特別な栄養、ローヤルゼリーが入っています。ちょっと酸っぱい味です。とても栄養価が高く、貴重なものです。そしてこの特別な栄養で育った女王バチは一匹ですべての働きバチを産みます。たくさんの幼虫が育つ様子は壮観です。

女王バチ
ひとつの巣に女王バチは1匹
予備の女王バチを育てる特別な巣
予備の女王バチを育てる特別な巣
巣の中で育つ幼虫たち
巣の中で育つ幼虫たち

人間とミツバチの関係

   続いて、秋田県横手市の養蜂農家:安士(やし)養蜂園さんの仕事ぶりを紹介です。養蜂農家さんはミツバチが集めたはちみつをいただいて生活をしています。養蜂農家さんは花の咲く場所に養蜂箱を運びます。そして毎日、養蜂箱を確認します。巣のフタを開けて、煙をかけてミツバチをおとなしくさせ、巣板を全部確認します。女王バチがちゃんといるか、働きバチの様子、蜜の状態を把握し、蜜をとるタイミングを決めます。また、天敵対策も忘れません。スズメバチが一度入ると出られない仕掛けを付けたり、クマよけの電線を周囲に張っています。

煙をかけるとミツバチがおとなしく
煙をかけるとミツバチがおとなしく
予備の女王バチを育てる特別な巣
養蜂箱の中の確認
巣の中で育つ幼虫たち
白いフタははちみつ、茶色のフタはサナギ

   季節によって咲く花が違うため、場所と期間を区切ってはちみつを絞れば、純粋なひとつの種類の花のはちみつが採れます。トチ、アカシア、リンゴ、サクラ、クリなどなど、花によって色も香りも違います。この差を比べるのも実に楽しいのです。
   人間はミツバチからはちみつだけではなく、他にも恩恵を受けています。例えば、蜜蝋(みつろう)です。ミツバチの巣は蝋(ろう)でできています。これを熱を加えて溶かしたものが蜜蝋です。口紅などの化粧品、クレヨンの原料、カヌレなどのお菓子、さらには医薬品にも原料として使われています。溶かしたばかりの蜜蝋は花の香りがします。この他に、女王バチを育てるローヤルゼリーは高級な健康食品として有名ですね。

  いろいろなはちみつ
トチ、アカシア、リンゴ、桜、クリのはちみつ
蜜蝋
鮮やかなオレンジ色の蜜蝋
 

   蜜蝋の説明を聞いて、シャーレ標本の中に蜜蝋のカケラを貼り付けました。
   次に花粉荷(かふんか)の説明です。ミツバチが脚に花粉の玉を付けていますが、これが花粉荷です。味見をしてみると、少し甘いです。この花粉荷を透明な薬のカプセルに詰めて、シャーレ標本に追加しました。
シャーレ標本に詰込み中
シャーレ標本に詰込み中

ハニカム構造

   続いて、ハチの巣の構造のお話しです。養蜂農家さんからいただいた巣の板の実物をみてみました。養蜂箱にいれる巣の板には、パラフィン紙の上に六角形を蝋で印刷してあります。これを頼りにみつばちが巣をつくり始めます。これを巣礎(すそ)といいます。ここまでが手助け。あとはみつばちを見守るだけ、と養蜂農家さんは言っていました。
   規則正しい六角形の巣にため息です。はちみつがびっしり詰まっている巣板はずっしりと重く、一升瓶3本ぐらいのはちみつが採れるそうです。天然にできる巣を透かして見ると、実に面白い構造がわかります。ハニカム構造と呼ばれている丈夫な構造です。この構造がわかるように巣に石膏を流し込んだものも貼りました。

巣礎(すそ)
巣礎(すそ)
巣がずいぶんできています
巣がずいぶんできています
巣はリサイクルで黒くなってきます
巣はリサイクルで黒くなってきます
蜜がいっぱいになるとフタをして熟成
蜜がいっぱいになるとフタをして熟成
自然につくるみつばちの巣
自然につくるみつばちの巣
巣を透かして見るとどうなっている?
巣を透かして見るとどうなっている?

   最後はミツバチの巣を貼ってオリジナルのシャーレ標本が完成です!これは実にうれしい標本になりますね。 みつばちシャーレ標本の完成
みつばちシャーレ標本の完成!

最後に

   ハチミツが採れる花のクイズのあと、最後にアカシア、リンゴ、トチのはちみつを味見して、どれがどのハチミツかを考えてみました。色も香りも味も違うのがわかってもらえたと思います。

   ハチ好きの子どもが多かったので、ミツバチの天敵であるスズメバチの標本もみてもらいました。この大きさの違いは驚きますよね。
スズメバチとみつばちの比較
スズメバチとミツバチの比較
   虫が触れない、虫が嫌いな人が増えている中、集団生活をするミツバチの生態のおもしろさに興味を持ってくれる子どもたちはとても貴重な存在だと思います。これからもミツバチだけではなく、ほかの昆虫への興味、自然界への興味をずっと持ち続けてほしいと願っています。